プログラム

プライマリ・ケア研究のPresent & Future
-総合内科の立場から-

臓器別専門分野がさらに細分化した日本において、総合的視点をもった内科の必要性が再認識されつつあるだろうか。米国の歴史を紐解くと、第2次世界大戦終了後にすでに日本のように臓器別専門分野の発展がおこっていた。しかしその後、プライマリ・ケアは人の寿命を延ばし、医療費を削減するために必要な分野であることが認識され、General Internal Medicine(GIM)の必要性が再認識され、Society of General Internal MedicineがRobert Wood Johnson財団のサポートで設立されたことにより、GIMのアカデミアが確立されている。これが1978年のことである。
40年以上たった現在、日本の総合内科はまだそのスタートラインにも並んでいないかもしれない。日本が迎えている超高齢社会に総合内科が関わる重要性が認識され、また多くの総合内科医がアカデミックなマインドを持つことがその第一歩となるだろう。

濱口杉大 MD DTMH MSc PhD FACP

福島県立医科大学 総合内科
1995年新潟大学医学部卒業。天理よろづ相談所病院で初期研修、市立舞鶴市民病院にて総合内科後期研修、その後北海道の僻地で数年間の地域医療を実践。2006年London School of Tropical Medicine & Hygieneに留学し熱帯医学、臨床感染症を学ぶ。2007年に北海道江別市立病院の総合内科と総合内科研修の立ち上げを行い、長崎大学熱帯医学研究所にてベトナムの不明熱研究に従事する。2016年10月から現職。主な研究テーマは、高齢者肺炎、熱帯地域の不明熱、リケッチア感染症。臨床研究の経験は浅いが、遅ればせながら臨床現場からの切実な疑問と向き合いながら修行中である。