研究計画Evolutionの主旨

草場 鉄周
日本プライマリ・ケア連合学会 理事長、医)北海道家庭医療学センター 理事長

PCR Connectは日本のプライマリ・ケア研究の一層の促進を目的として、若手研究者が切磋琢磨するための場として創設されました。そのモデルとなったのは北米プライマリ・ケア研究ネットワークの学術集会で、そこではまだ荒削りの研究計画書を若手がプレゼンし、そこにベテランがアドバイスを自由に提供する、組織の枠を超えたグローバルな知的刺激にあふれる空間が広がっていました。このセッションでは、そうした空間の再現を目指しています。研究計画を提出する方はもちろん、そのやり取りを見る方にとっても色々な研究のノウハウやヒントが得られることと思います。どうか、奮ってご参加下さい!

濱口 杉大
米国内科学会日本支部 Scientific Program Committee 委員長、福島県立医科大学 総合内科 教授

米国内科学会(ACP)日本支部は、総合内科(GIM)のみならず、総合内科的臨床力をベースに各内科専門分野で活躍される先生方が多くおられるという特徴がございます。したがって各専門領域の臨床研究については指導を受ける環境があったり、経験豊かな専門家からアドバイスを受ける機会が存在したりすることと思います。しかし、その専門領域でもプライマリ・ケアに関連する問題があり、プライマリ・ケアに関する臨床研究については、なかなか適切な指導を受ける機会は少ないことと思っております。PCR connect年次学術集会のセッション、「研究計画 Evolution」は、まだ粗削りな研究プロトコールの段階で、プライマリ・ケア研究の専門家からの様々なアドバイスが受けられるという貴重な機会となります。特にプライマリ・ケア連合学会には所属していないが、日常臨床でプライマリ・ケア関連の臨床研究をおこないたい、おこなっているがうまくいかない、というACP日本支部会員の皆様をお待ちしております。

福原 俊一
日本臨床疫学会 代表理事
京都大学 特任教授、Johns Hopkins大学 客員教授

日本臨床疫学会は、医療者を主たる対象にした学会です。すなわち、研究のための研究をする方々のためではなく、医療を変えるための研究を目指す医療者のための学会です。4年弱前に発足しましたが、過去3回開催された年次学術大会には多くの若手医療者が集い、熱気あふれる場となっております。国際シンポジウムを毎年開催、独自の英文誌を発刊し、臨床疫学認定専門家制度もあります。
当学会は、多くの臨床系学会との連携を図っております。日本プライマリ・ケア連合学会とACP (米国内科学会)日本支部からもご要望があり、3学会が連携してPCR Connect を昨年開始しました。プライマリ・ケア領域には、所謂基礎研究はなく、臨床研究しかありません。私は約20年前から、プライマリ・ケア領域こそが、日本の臨床研究を牽引していくべきであると申し上げてきました。現状は、残念ながら他の専門領域に遅れをとっていますが、今からでも遅くありません。
このPCR Connectを通じてそれが実現されることを祈念しております。