診断研究の方法論 -診断学のエビデンスの作り方-
高田 俊彦
福島県立医科大学 白河総合診療アカデミー
“従来”の診断研究では、評価の対象であるindex test(病歴・身体所見・血液検査など)の診断精度を感度、特異度などの指標を用いて評価してきた。しかし、実際の医療現場における診断プロセスでは、複数の情報を組み合わせることで疾患の可能性を見積もっている。個々の情報は、互いに独立しておらず(発熱と炎症反応など)、それぞれの尤度比を単純に掛け合わせて、疾病の事後確率を求めることはできない。また、通常の診断プロセスでは、患者の基本属性、主訴といったシンプルな情報から、より詳細な病歴、身体所見、血液・画像検査といった順序で情報が得られる。そのため、血液・画像検査といった、診断プロセスの中で後から得られる情報に関しては、病歴や身体所見といった事前に得られる情報にどれだけの付加価値があるのかを評価すべきである。本セッションでは、検査の付加価値を評価する “これからの”診断研究の方法論について解説する。