臨床研究における傾向スコアを用いた統計解析入門:最近のNew England Journal of Medicine誌の事例から
野間 久史
統計数理研究所

医療統計学の入門書や解説論文を読むと、必ずといってよいほど、臨床研究における「治療のランダム割付」の重要性について解説がされているかと思います。すなわち、新薬開発などにおける国際スタンダードとなっている「ランダム化比較試験」です。しかし、大学や研究機関などで我々が実際に携わる臨床研究は、多くが観察研究であり、現実的な条件下ではランダム化比較試験を行うことができるような状況は限られています。一方で、近年、NEJM誌などの一流医学雑誌では「傾向スコアマッチング」「傾向スコア重み付け解析」という方法が大流行しています。なにやらこの方法を使うと、観察研究のもとでも、あたかも治療のランダム割付を行ったかのような『擬似ランダム化』による解析を行うことができるとのことです。これはいったいどういうことなのでしょうか?本講演では、最近のNEJM誌の臨床研究を事例として、傾向スコアを用いた統計解析について、初学者向けの平易な解説を行います。

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